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面白かったオオスズメバチの物語(小説)を紹介してみます。

time 2018/11/02

面白かったオオスズメバチの物語(小説)を紹介してみます。
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秋になると、スズメバチが活発になりますね。

養蜂農家さんにとって、スズメバチはミツバチの巣箱を襲うやっかいなやつです。

最近、トビイロシワアリの食害について調べましたが、アリもハチもどちらも集団で生活し、社会性をもった昆虫です。

他の生物とは違った独特な生き方をしていて、その生態を知れば知るほど面白いです。

社会性があって、少し人間にも通じるところがあるのがまた興味深い。

ちょっと野菜づくりとは、ずれてしまうのですが

今回は、僕が読んだ中でとても面白かったスズメバチの本を紹介したいと思います。

百田尚樹さんの「風の中のマリア」という小説なんですが、ご存知の方いらっしゃるでしょうか?

百田尚樹さんと言えば、「永遠の0(ゼロ)」や「海賊と呼ばれた男」がベストセラーになって、映画化もされるほど有名ですね。

この2つは、戦争の話や企業のサクセスストーリーなど、どちらも人間社会を舞台にした小説でした。

そんな中、ちょっと異質な小説を百田尚樹さんは書いてくれています。

一匹のオオスズメバチのワーカー(働き蜂)の一生を題材にした物語。

それが「風の中のマリア」です。


この小説を読むと、オオスズメバチの生態をよく知ることが出来ます。

・なぜ女王バチしか卵を産まないのか

・なぜワーカー(働きバチ)はメスばかりなのか

・なぜ蜂は社会性をもって生きているのか

その答えは、小説を読み終えるころにはすべて分かります。

この小説はオオスズメバチを擬人化しているので、1匹のワーカーの生涯を物語として読むことが出来ます。

オオスズメバチの生態を科学的に説明する場面もあるのですが、物語になっているのでとても読みやすいです。

読んだら、これまで毛嫌いしていたスズメバチも、少し違って見えてくるかもしれませんね(笑)

中高生の時に出版されてたら、読書感想文の本にしたのになぁ(^▽^;)

この小説を読んだ中で、一番印象的だったのが

オオスズメバチ、二ホンミツバチ、セイヨウミツバチの奇妙な三角関係です。

ご存知の通りオオスズメバチは他の虫を襲って餌にします。

二ホンミツバチやセイヨウミツバチを巣ごと襲って餌にすることもあります。

セイヨウミツバチは名前の通り、日本に昔からいた蜂ではありません。

セイヨウミツバチは長い間、スズメバチのような敵がいない環境で育ってきました。

そのためセイヨウミツバチは、オオスズメバチへの対抗手段を持っておらず、襲われれば、ただ虐殺されてしまうことがほとんどです。

よく養蜂農家さんが、山の中でセイヨウミツバチを飼育されていますが、それは人間の手で守られているからです。

人間の手がなければ、オオスズメバチのいる日本の野山では、セイヨウミツバチは生きていくことができません。

一方、二ホンミツバチは、オオスズメバチという天敵のいる環境で長い間生きてきたため、対抗手段をもっています。

1匹のオオスズメバチを数百匹の二ホンミツバチで取り囲んで、蒸し殺す「蜂球」という戦術ですね。

この方法で二ホンミツバチは、時にオオスズメバチを撃退し、日本の野山で生き残ってこれました。

さて、ここで興味深かったのがセイヨウミツバチの盗蜂というものです。

「盗蜂(とうほう)」とは、その字の通り、他のミツバチの巣から蜜を奪う行動のことです。

セイヨウミツバチはこの盗蜂をする性質があります。

同じ種族の間なら、小競り合い程度の戦いで済みますが、対二ホンミツバチとなると話は変わります。

二ホンミツバチは盗蜂をするセイヨウミツバチを見つけることができません。

巣の蜜を奪われ放題です。

集団で襲われた場合、巣の蜜をすべて奪われ、二ホンミツバチは餓死して全滅することもあるそうです。

もし、日本にオオスズメバチがいなければ、二ホンミツバチはセイヨウミツバチによって絶滅していたかもしれませんね。

こんな感じに

セイヨウミツバチは、オオスズメバチの牙に

オオスズメバチは、二ホンミツバチの蜂球に

二ホンミツバチは、セイヨウミツバチの盗蜂に

という奇妙な三角関係が成り立っているそうです。

面白いですね。

この辺りの内容も小説を読むと出てくるので、詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。

最後に小説中で、マリアが二ホンミツバチの蜂球に出くわしたときの一説を紹介して終わりますね。

「マリア、正面突破しよう」

ドロテアはそう言って、ミツバチの群れに大胆に踏み込んだ。

「待って!ドロテア姉さん」

マリアが叫ぶと同時に、ミツバチの群れがぐわっとふくらんだ。それは巨大な泥のようにドロテアの体を包んだ。黒い泥の流れはマリアのほうにも押し寄せたが、マリアは間一髪で逃れた。それでも数頭のミツバチがしぶきのようにマリアの体にしがみついたが、マリアは飛びながらそれをふりほどき、それでもしぶとく体を離さなかった三頭を大顎で噛み殺した。

洞の入口まで下がると、ミツバチの群れはそれ以上マリアを追ってはこなかった。

マリアはドロテアを包み込んでいるミツバチの塊を見た。それは何百というミツバチでできた巨大な球だった。そこからはものすごい翅音と熱気が立ち上ってくる。

「何なの、これ・・・」

マリアは茫然とそれを眺めていた。

「第二部 帝国の栄光 2 見えない敵」より

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プロフィール

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神奈川在住のシステムエンジニア。趣味で野菜作りを始める。実家は兼業農家なのに野菜作りは全くの素人。将来実家の農地を耕すかもしれないので、勉強もかねてシェア畑で野菜作りを始める。 就農までの記録つけはじめました。 https://road-to-farmer.874-lifehack.com

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